童話と怪談

ハッピーエンドの多い、童話の世界。しかし本当の海外の童話は残酷であったり、震えあがるほど怖い内容が多いものです。
「××すると、こんな風に悪いことが起こるよ! だからやってはいけません!」
童話のほとんどはこのように、子供に教訓を与える躾の役割を果たします。

海外の童話だけではなく、日本の昔話・怪談話にも、人としてのモラルを問うような意味合いも含んだ、考えさせるストーリーのものが多いです。
旦那に裏切られ、毒を盛られるお岩さんの話や、意図的に足りないお皿の数を数えさせられたお菊さん。こうした怪談は、大人のための教育的な童話と考えていいのかもしれません。
ただし、あんまりにも無慈悲すぎるものは、途中で改変されやさしい表現になり、子供たちに伝えられていることが多いことは知っていることと思います。

そして現代では、恐ろしい怪談話から、子供向けの童話に進化したものが存在します。いくつかご紹介しましょう

怪談ものの童話・幽霊が登場する童話

子そだてゆうれい

全国数々の場所で伝承されている古い怪談の「子育て幽霊」は、死んでしまってもなお、子を思う母の強い気持ちを伝えるものです。飴を買う幽霊と聞けば、ピンとくる人も多いでしょう。
多くの母親は、生まれてくる子供のことを大事に思っているんだよ、などと言いながら読み聞かせたい怪談童話です。


四谷怪談

少々おとなびたお子様向けの童話になっているでしょうか。四谷怪談は、浮気するようなダメな夫を一途に、そして盲目に慕うお岩さんが、ひどい目に遭ってしまう物語です。
人を信じることは良いことですが、ときには疑ったり、話し合ったり、誰かを頼ろうとすることも大事なのだ、という教訓が得られるでしょう。


さらやしきのおきく

番長皿屋敷の怪談をモチーフにしてアレンジした落語が童話化しています。酷い領主に手打ちにされ、皿を延々と数える幽霊になったお菊さんですが、周りの人間は怖いもの見たさで集まって……。
あっけらかんとしたストーリーですので、幼年のお子様も楽しめるでしょう。


おばけずかん

こちらは現代に作られた童話で、100万部を超える大人気シリーズです。アニメや実写映画化もされています。
お子さん自身と共感できるような普通の男の子が、ひょんなことから化け猫に、家や公園などにいるお化けを記録する図鑑作りを頼まれます。
「いつもの場所にも、もしかしたらお化けがいるのかも」と思わせ、子供の想像力をかきたてられる童話です。


幽霊のいる教室

どんな児童も、ゾッとする話に惹かれる年代ってあるでしょう。こちらはそんな子供の欲求を満足させるような怪談童話です。
「ねむれないほどこわい話」とあるように、苦手なお子さんにはお勧めできません。ちょっと怖くて、すこし理不尽なストーリーです。


怪談レストラン

こちらも現代童話です。イラストが単純で、子供でもとっつきやすくおもえるのですが、中身は本格的な怪談をそろえている童話集になっています。
怖い話に興味が出てきた子供さんにどうぞ。背筋がゾッとするような怪談、すこし心が温まるような怪談、そんな古今東西の怪談話をテーマ別に集めていて、豆知識等のトピックも豊富です。勉強にもなるため、親御さんからの支持も熱い童話シリーズです。